空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

映画  「プロメテウス」

9/14鑑賞

人類誕生のなぞ、、、?
って進化論を信じていれば特に疑問はないと思いますが(笑)、さすが進化論を教えない(けど科学技術先進国)国だけあって、どうしても人間だけは誰かの手によって独立で造って欲しいんですねぇ。

余談ですが、猿の惑星もサルからヒトへはモノリスをかましていたし、段階的に人になるって言うのが許せないんでしょうか?

そんなわけで、いい加減進化論を信じろよーー、と突っ込みつつ、エイリアンシリーズが好きだから根底のテーマなどは無視して観に行ってきました。監督もリドリー・スコットですし。
プロメテウスシリーズ(?)として続編があることは分かっていたので、終わり方としては特に不満はありませんでしたが、エイリアン第一弾を彷彿させるシーン満載で、それを良しとするか、安易とするかは各人好みが分かれるところではないでしょうか。私は、わりと楽しみました。

作品としては、ヒロイン像の描き方に時代の変遷を感じると言いますか、エイリアンで活躍したシガニー・ウィーバー演じるリプリー隊員は、1979年頃の社会や文化を映したまさに「女傑」。女が活躍することが少ない場所で、あえて活躍するには抜きんでて勇敢で能力が高くもちろん相当の努力家であり、そのために女らしさという部分は捨ててきた、といった描かれ方をしていたわけですが、本作プロメテウスのヒロイン、ノオミ・ラパス演じるエリザベス・ショウ博士はリプリーに比べると随分と可愛らしさを残しています。もちろん勇敢かつ優秀であることには変わりはありませんが、プロメテウスで描かれている世界は近未来。女性の社会進出も一層進んでいることでしょうから、肩肘張らずとも能力は存分に発揮出来るんですね、きっと。そんな映画とは関係ないことに働く女の一人としてしみじみしたりして。。。

私の大好きなシャリーズ・セロンももしやアンドロイド??と勘ぐってしまうような無表情と動きで良かったです。最後、ホモサピを創ったらしい巨人の宇宙船が墜落する際に下敷きになって死んでしまうんですが、正直彼女は生き残って欲しかった。
アンドロイドも良かったですね−。優しく品が良く、アンドロイドなのに実はかなり内省的で、それ故に人間に対して残酷になってしまうデイヴィッドを見てエイリアン二作目以降のビショップを懐かしく思い出したヒトは私だけではないでしょう。エイリアン(プロメテウス含め)にはエイリアンvsホモサピ、というのとは別に、ヒューマンvsヒューマノイド(アンドロイド)という対立軸があって、私としては実はそっちの方が気持ちを刺激されるんですが、まだきちんと言葉に出来るほどではありません。


さて、ここらでストーリーをかいつまんで説明しますと、冒頭大自然(太古の地球と思われる)に降り立つ巨人がいます。彼が持参した容器にはなにやら泡立つ液体が。。。それを飲み干す巨人。それを見届けて、空中に静止していた宇宙船は彼方へと去っていきます。
と、液体を飲んだ巨人の体に異変が起こり、体も細胞も遺伝子も砕け散りながら濁流の中に落ちていき、そして、、、、、、おそらく地球上のなにがしかの成分と混じり合いながら巨人の遺伝子は再構成されます。これが人類の起源。
で、それから数千年が経過して進化した人類は、地球上のあちこちに似たような文様を持つ遺跡を見つけ、それがある星の座標を示していることに気がつきます。そこにはきっと人類発祥の手がかりがあるのだろうということで、チームを組んで調査に行くのです。
で、そこで見つけるのは冒頭で出てきた巨人族の死体とエイリアンらしき生き物の元(卵ではない)。この辺で、エイリアンも巨人族の遺伝子工学の産物なのかな?と分かってきます。

で、途中端折って、最後はお決まりのヒロインとアンドロイド(首だけ)だけが生き残り、次の冒険へと旅立っていくのでした。
まんま、エイリアンじゃねーか!と怒る人がいるのも仕方ないですね。個人的にはここまでリメイク的にするなら猫のジョンジーも出して欲しかった。。。。まあ、いいけど。
ショウ博士とデイヴィッド(アンドロイド)は地球に戻らずに、巨人属の星に向かうと言うことなので、次回作で巨人の口からなにがしかの解答が得られるのでしょうか?でも、最後にまた人っ子一人いなくなった惑星で成体のエイリアンが誕生していたので、それが何かをするんでしょうか?
まーあまり色々突っ込まずに楽しみにしたいと思います。


が!生物系研究者としてどうしても見過ごせない疑問が。
1.巨人族の遺伝子を再構成して最初の人類の受精卵が出来たのはいいけど、親がいなくて育つのか?
2.再構成された細胞が原始のプランクトンか何かのものだったとして、ホモサピになるまで巨人族の特性が出なかったのはなぜか?
3.巨人族が造ったらしいエイリアンの元はミクロの寄生虫のようなもので、それが別の動物の体内に寄生するとエイリアンシリーズで卵から出てくるヒトデ状のフェイス・ハガーが出来るようなのだが、ショウ博士の体内で育ったフェイス・ハガーの大きさが最初から巨人サイズで大きかったのはなぜか?重力の関係?

他にもいくつかあったけど、忘れました。
矛盾を多数はらみつつ、エイリアンの世界観が大好きというヒトにはお勧めです。
整合性を求めるヒトは止めておきましょう。「金返せ」と叫びたくなるかも知れませんw

プロメテウス : 作品情報 - 映画.com