空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

最近の読書傾向

関西のワイドショー(具体的には「そこまで言って委員会NP」)で扱っていたのをきっかけにサイコパスとか良心のない犯罪者関係の本を続けて読んでいる。
心理分析や精神障害関係の読みものは元々好きだったけれど、ここ何年も手に取っていなかった。
久しぶりなので面白い。


この本は読み始めて3冊目で見つけて購入したもの。

異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)

異常快楽殺人 (角川ホラー文庫)

ホラー作家 平山夢明によるノンフィクション。
同時に小説も購入したのだけど、そちらは高レビューだったにも関わらず戦慄のせの字も感じず拍子抜けだったが、これはなかなかすごい。
夢中になると一気に読んでしまうたちなのだが、途中消化不良で本を閉じることが何度かあり、読み終わるまでに1週間近くかかってしまった。

非常に残酷かつグロテスクな描写も多く気分が悪くなった、、、、というのではない。
思いの外そういうことはほとんどなかったが、今まで読書中にはあまり感じたことのない、口の中で咀嚼しているのだがいつまでも飲み込めない、嚥下反射が起きない、という不思議な状態に陥ってしまった。

自分の中の何かがショートした、という感覚だろうか。



6人か7人の海外の快楽殺人者の来歴と犯罪の詳細が記述されている。
うち一人はベトナム戦争の後遺症と思われる殺人者であり、殺人に対する感覚が麻痺している自分に慄き、逮捕されて心底安堵していることからも、元は普通の市民だったのだろうと思われた。
この人に関しては、自分と同じ人間の話であると感じられた。
しかし、その他は自分との乖離がすごすぎた。

例えば自分の快楽のために殺人を犯す、人肉を食す、と言ったことに対して、その胸の内を想像しようと頑張ってみたのだが、自分の中からは共感も嫌悪も恐怖も何も湧き上がって来ず、ひたすら「?」マークだけが並んだ。

あれは姿は似ているけど他の星の生物なんだと言われたら「だろうね〜」とあっさり同意してしまいそうだ。
そのくらい遠かった。


であるので、正直得たものはほとんど無い。
一点気になったのは、旧ソビエトの凶悪殺人鬼チカチロは長い乳首を持ちインポテンツであったと。また別の、本書では取り上げていない猟奇殺人犯でも同じく乳首が長くインポテンツという特徴を持っていたという記述があり、発生学的に興味深いと思った。
何か関係があるのかもしれない。


仮に、こういった猟奇的な嗜好を持った人間を事前に回避することが可能であるとすれば、乳首が長い男性を見たら気をつけておく、ということだろうか(ギャグか?というような注意点ではある)。



話は少し変わるが、同時に購入した平山夢明の小説に関して少々。

本はこれ。

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

レビューは「グロい」「怖い」「食欲を失った」のオンパレードだったので、期待して読んだのだが、さらっと読めてしまい、かつ気持ち悪くもならない。
確かに生々しい描写はあるのだが、食欲が失せることもなく(行儀が悪いが半分程度は食事をしながら読んだ)。


そしてふと思い当たったのは、定期的に鳥や動物の解剖をしている自分のような人間は、気がついていないだけで既に大多数の内臓をまじまじと眺めることのない人たちからは感覚的に大きく隔たっっているのではないか?ということ。

血とか内臓とか死体が平気な人、死体とはいえ身体に刃物を当てることのできる人、手際よく(もちろん震えたりしない)臓器を取り出せる人なんかは、そうでない人からしたら結構異常なのかもしれませんね〜



という発見が、個人的には一番「目から鱗」だった。
南無三