空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

映画 「東京島」

ご存じ、桐野夏生の小説を映画化したものですね。


こちらは映画化を知った際に原作を入手して読みました。
小説はアマゾンレビューでは賛否両論でしたけど、私は面白く読みました。評判の良くなかったラストも私は結構好きだなぁ。


というわけで、映画です。
主人公の清子を演じた木村多江さんは(清子の)イメージとだいぶ違うのでは?という前評判でしたが、なかなかどうして日焼けした彼女は野生的な美しさを備え、素敵でした。
作中そのままのイメージでやるなら、森三中の村上さんとか渡辺えり子さんがいいかなーって感じですが、木村多江版「清子」も悪くはありません。

如何にラクをしながら生き残りに有利な道を掴むか、清子はその都度悪知恵というよりはむしろ浅知恵を働かせながら振舞うのですが、その底の浅いふてぶてしさを上手く演じてらっしゃいました。
さすがですね。


不満があるとすれば、ラストの清子が美しく洗練されすぎだというところでしょうか。
一応、日本に戻ることができて10年後という設定なのだから、もう少し老け感と貫禄を出して欲しかったです。



あと、自ら監督に提案して役作りにこだわったという「ワタナベ」役の窪塚洋介
何かもう懐かしすぎて(結構好きな役者だった)、「この人ベランダからダイブしたのに死ななかったんだよなー。何かが憑いてるよなー」と映画とは全く関係ないことを考えてしまいましたけど、演技は良かったです。

ワタナベはかなり変人なので、もっと怪演でも良かったですが、清子とはまた別種のタフさが出ていたと思います。




映画の話からは外れますが、私は桐野夏生がかなり好きなんです。
なんとなく、彼女と私は物事の感じ方が似ているんじゃないかと思います。アウトローで割と人間嫌いで攻撃的っていうのかな。
彼女はすごく美人だし格好いい人なんですが、中心で人に囲まれているよりも、離れたところで斜に構えてる人だと思います。そういうところが同じ匂いがするというか。

アウトロー的性格というか雰囲気は身につけようと思って身に付くものでもなくて、やっぱり人生ずっとアウトローでした、みたいな人が自然と身に纏うものだと思うんです。

私は小〜中学のかなりの割合を虐めに遭っていたし、虐められなくなってからは変わっているとか、何か特別な感じがする、みたいな理由で周囲から距離を置かれていて、人生のほとんどの期間を少数派、、、言ってしまえば単独で過ごしているんです。友達はいますが、私のことを一番の友達として挙げる人っているのかな。多分、居ないんじゃないかな。いや、好いてくれている人は居ますよ。でも、遠巻きにされているというか。
意図せずとも、少し距離と緊張感を感じさせてしまう人間だと思いますからね。




桐野さんもそうなんじゃないかなーという感じがしますね。彼女の「白蛇教異端審問」というエッセイを読んで、一層そういう感じを強くしたんですが。

異端審問

当人は普通にしているつもりなのに異端審問にかけられちゃう人がいるんですよね。
ほんと、私も大多数はだから大嫌いです 笑。
子供のころから理由もわからずに大多数から断罪されていると、明るく公明正大でいようと思いつつもどうしてもひねくれたところが出来るし、それでも気が強いから、うまく表現できませんが独り黙って青い火を燃やしているっていうんですか? 桐野さん自身も彼女が描く女性もそんな人が多いです。



それで、そういう女性はやっぱり大多数の支持を得ることはできないからか、映画館もガラガラでした 笑。

ってところで、脱線したけどオチを付けておきましょう。