空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

私はまだまだキミを知らない

今日、ちょっと感動してしまうことがありました。


我が家のチビネコ ミトは毛をむしる癖があるのと体が小さいうえに食が細いのも相まって腸管が細く、毛球症になりやすいのです。
口から毛玉を吐けるうちはまだいいのですが、毛玉が腸まで行き、かつそこで滞留してしまうと口からは吐けないし、けれども新しく食べたものはスムーズに腸に行かないため吐き戻してしまうということが起こります。

ひどくなれば開腹手術をしなくてはなりませんが、習慣性のものだから再発することももちろん多く、そのたびに手術するわけにはいきません。

なので、食用ワセリン(ラキサトーンという)を定期的に舐めさせ毛玉の滑りを良くしてやり排便させることが必要になります。


このラキサトーン(ラキサと略される)、カラメルの甘い香りが付けられており嫌がらずに口にできるよう工夫されています。
しかし当然嫌いなコもいます。

『嫌がるコには口の周りや前足の先に塗って舐めさせましょう』とありますが、、、、嫌なコは塗られるのだって嫌なんです!
当然でしょうね。


我が家では、
定期的に立派な毛玉を吐き毛球症の心配はないさつきはラキサ好きでした。
にーやんは嫌いですが毛球症どころか吐き戻しさえ滅多にしません。ウンチが太いので、立派な腸管から全部出ていると思われます。

新入りトトは毛繕いが激しいので毛球症の心配が多少ありますがラキサ大好き(笑)なので問題ないでしょう。

で、ミトはラキサ大っ嫌いぃー!!!!!でした。
仕方ないので、押さえつけて鼻のわきに塗りつけたり(でも、手ではたき落している)、隙を見て前足に塗ったり(でも、ぶん回して落としてた)しましたが、効果的に舐めさせることは出来てませんでした。

それでも深刻な嘔吐が続いたときに少量ずつでも集中的に舐めさせて腸の中をきれいにしてあげて、それからだいぶ調子がいい時が続いていたのですが、最近また食べては吐くのを繰り返していたんですね。
また毛が溜まってきたのもあるだろうし、季節がら抜け毛が多くなっているのもあったんでしょうね。

嫌いでもラキサ舐めさせないとなーと思いました。
でもね、相手が嫌がることをするのは私も消耗するんです。
とはいえ、嘔吐は代謝のバランスも崩すし体力的も失わせるし、もちろんそっちを何とかしなくちゃいけないのは分かってますから、無理やりだろうが何だろうがラキサを与えないといけません。



話は変わりますが、私がミルクをあげて育てたさつきはワクチンを打つ時にきちんと言い聞かせると私に背中を向けて注射が終わるまで黙って座っています。
針を刺すと「ウッ」と小さく鳴くので痛いのだと思いますけどじっとしています。
当人(当ネコ?)にとって多少不愉快なことでも、私がやることを信用しているのでしょうね。



もしかしたらミトも話せばわかってくれるのかも知れないと思いました。
だから指にラキサを塗って、ミトに向かってなぜ私がラキサをミトに舐めさせるのか、しばらく話して聞かせました。
彼女はラキサの匂いがするので警戒し、離れたところでじっと私を見ていました。
10分か15分も言い聞かせ続けた頃でしょうか。
ミトが近づいてきました。
それで、
しばらく指の匂いを嗅いでからラキサを全部舐めたんです!
あんなに嫌いだったのに。
舐めた後は「ウ〜><」という顔をしていたので今も嫌いなんだと思います。でもね。



私は感動したし、少し反省しました。
日頃から動物もヒトもなるべく同じ視点で、まして一緒に暮らしているなら出来る限り対等に尊重して、と思って生活していますが、それでも「(種が違うから)言ってもわからないだろうし」という気持ちがあったのだと思います。だから丁寧なコミュニケーションを省いてしまっていた。

でもそれじゃあダメですね。
うーーーん、、、、、、。
そうかぁ。。。。。。。。。。。そうなんだなぁ。。。。。。。。。



動物にどんな能力があって、どこまで・どんなふうに認知しているのか、まだまだ分かってないんですよね。
もっとずっとたくさんたくさん通じ合えるのかも、いや通じ合えるはずだと感慨深く思った瞬間でした。



私は臨床はやってないけど、獣医っていい仕事だなと思いますね。。。。
獣医師を志すヒトはみんなソロモンの指環のかけらを持ってるのかも。私もね。
だからもっと心を開いて動物たちと付き合っていこうと思います。