空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

初夏の愉しみ

私の料理歴は長い。

フルタイム勤務の共働き家庭で育ったこともあり、10歳くらいから母の帰宅に合わせてご飯を炊く、味噌汁を作る、程度はやっていたように思います。

また、母が、今から考えれば若くて未熟だったのだと思いますが、大人レベルの完璧さを子供(特に長女である私)に求める人だったため、理不尽に厳しかった。
それで、カッターで鉛筆を削る(もちろん仕上がりは美しくなければならない)、とか、リンゴの皮を剥く(当然、皮は薄く途中でちぎれてはならない)、だとか徹底的にやらされまして(出来上がりが母の考えるところに到達していないと怒られるため、泣きながらやる 笑)、比較的早いうちから刃物の扱いにも慣れておりましたので、家庭科で調理が始まると勝手にどんどんやるようになりました。
親子っていうより、親方と弟子みたいですが。


母は厳しかった割にはリターンがあまりない人で(笑)、夏休みで子供だけになってもお昼ご飯を用意しておく、などにはあまり気が回らないようでしたし、私のスキルが上がってくると何の疑問もなく(つまり家事で勉強時間が削られいている可能性には疑問をもたなかった。しかし成績が悪いのは許さないw)乗っかってくる人でしたから、「一品作っておく」から「一食用意する」に移行するのにさほど時間はかからなかったと思います。

台所を使うことに関しては「料理はしてもいいけど、片付けもやりなさい」と言われただけでした。


母は料理に関してはやる気だけはあった(しかし実際は仕事で時間も気力も奪われていたようだ)らしく、料理本は結構たくさんあったんですね。

インターネットがなかった時代なので、私はそういう本を参考にしてどんどん料理を覚えました。
弟も似たような感じでスキルを上げました。



だから、母に料理を教わったっていう感覚はほぼないですし、私の作る味は実家の味とは違います。
母に料理を振る舞うと「美味しい!でも(同じ料理でも)私のとは全然違う味付けなのよね〜」と言われます。
そりゃそうだ



話は逸れますが、日本人は、いや日本の男(今の40代後半以上と言うべきかも?)は料理がうまいと「お母さんも料理が上手なんだろうね!」と言ってくる率高し!
そしてその言葉の裏には「空ネコは料理上手な母親が切り盛りする『真っ当な』家庭で、娘として家事を仕込まれたお嬢さんに違いない」「でもってそういうお嬢さんはいい奥さん(ってどんな奥さん???)になるだろう」という願望だか妄想だかよくわからない誠に勝手な先入観が隠れているのです。


いや、親カンケーないしね!
私の料理の先生は「NHKきょうの料理」と「家庭画報」だから!
何ならうちの親は今の時代なら毒親って言われかねないことしてたからね!!
親自身が「あなたたち(我々子供)、あの育て方でよくグレずに育ったって、今から考えると冷や汗出てくるわ」って言ってますから!

大体、世の中には真逆の例も山のようにあるのを知らないのでしょうか?
私の知人には専業主婦で料理上手のお母さんに育てられても、さほど忙しくないのに冷凍食品やお弁当ばかり買っている人が何人もいますが。




前置きが長くなってしまいましたが、私の食生活は私が「こんなふうに生きたい」と思ってトライアンドエラーを繰り返して構築したものだってことです。


さて、40年も料理をしてきますと、一汁一菜とか一汁三菜といった調理は繰り替えしすぎて少々飽きています。
なので、どんどん作ったことがない料理、外国の料理に手を広げて行きますし、日々のメニューも「何作ろう?」ではなく「どの国にしよう」となりがちです。
もちろんこれは性格に依存するところも大きいかもしれませんが。

私にとって料理は生活の根幹であると共に知的好奇心を満たすツールでもあります。



とは言え、季節で作りたくなる定番メニューや保存食もあります(やっと本題)。

今の季節だと梅、らっきょう、新生姜

一通り作りましたが、一番手軽な梅干しか梅サワーを作ることが多いですね。
また、あの産毛の生えた青い実を一年に一度は触りたくなってしまうのですよね〜。
でもって、「梅仕事」という言葉がとてもいい。この季節になるとついつい梅仕事をしたくなる。
らっきょう仕事って言いませんからね。



今年の梅仕事は小梅。
福島で自然農法に取り組んでいる農家から買いました。
譲り受けた梅の古木を手入れして育てているそうで、大きさは不揃いですが大変香りの良い梅でした。

アク抜き
塩まぶし
すぐに梅酢が上がりました


梅干しの楽しみの一つはこの白梅酢。
これで胡瓜、茄、茗荷を漬けるのもまたこの季節の楽しみです。

今は梅酢もスーパーで売っていて、いい時代だなと思いますが、じゃあいつでも梅酢を使いたいのかといえばそういうわけではない。
梅干しの副産物だから楽しいということもあると思いますけど。



もう一つはビーツ

ビーツが好きでね〜。
日本橋たいめいけんで家族で何度も食事をしていて、ボルシチに馴染みがあったからでしょうか?
ボルシチの赤がビーツの色と知ってからはビーツを見かければ買うようになりました。

といっても、1990年頃は八百屋でビーツなんか見たこともなく、ボルシチを作ってみたかった私は明治屋でビーツの水煮缶を見つけて狂喜乱舞しておりましたよ。

今はビーツを育てている農家が増えて、野菜売り場でもたまに見かけます。これは文句なくいい時代です。


今日はビーツをピクルスにしました。
ポイントはビーツを加熱する時に茹でるのではなくホイルで包んで蒸し焼きにする、ということです。
茹でるのが簡単ですが、赤い色素と甘味が流れてしまうのが難点です。
皮ごとホイルに包んでオーブンかグリルで蒸し焼きにして、粗熱が取れたら薄く皮を剥いて使用します。

ビーツのピクルス


今回はピクルス液に使用した砂糖を特別なものに変えたので、味がグレードアップするのではないかと思います。
期待!!!