空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

ニシン漬けの冬が来た

年明け早々、数年ぶりに生まれ故郷の漬物であるニシン漬けを作った。

とはいえ3歳から東京に住み25年以上暮らし、どちらかといえば東京が故郷という感覚なのに加え、実家では食べたことがなかったので、ニシン漬けは田舎に住む伯母の味、というのが正しい。


父には二人の姉がいた。つまり私にとっては伯母さん。
どちらも料理上手だったと記憶しているけど、上の伯母の味覚と私のそれが似ているのか、不思議と印象に残っている料理が多い。


ニシンん漬けを作り始めたのは30歳過ぎた辺りだったか、ふと思い出して食べたくなり、ネットでレシピを調べて自己流で作ってみたのだが、これが案外美味しく出来、また飲兵衛の知人友人にお裾分けしたところかなり評判が良かったのに気をよくして10年ほどは毎年漬けていた。

40代前半から6−7年は何もかもが上手くいかず、仕事もやたらと忙しく(しかし実りは少ない)気分も安定しなかったので、作るのをやめた時期があったのだけど、寒くなると思い出した。ニシン漬けは冬の漬物なのである。



今年は今の所に転居して丸2年が過ぎ、生活も安定し、久しぶりに仕込もうかという気分になっていた。
いつもなら(特に西日本在住時には)ネットショップでしか購入できなかった身欠きニシンが、近所の鮮魚店に普通に売っているのを見つけたことも大きい。


ご存知ない方のために簡単に説明すると、ニシン漬けはカチカチに干された身欠きニシンを戻したのと大根・にんじん・キャベツ(断じて白菜ではない)・生姜の千切りを塩と米麹で漬けたもの。
買うとまぁまぁ高い、らしい。


毎年少しずつ工夫して、差し上げた人みんなから美味しいと言ってもらえる味を目指しているのだけど、工夫がうまくいかず失敗する時もある。
しかし今年は思いついたことがぴたりとハマり、これまでで一番美味しくできたように思う。
人にもあげたけど、自分でも毎日食べてあっという間に無くなってしまったからだ。
こういうことはあまり記憶にない。

大抵は途中で飽きて、食べないうちに酸っぱくなってしまっていたので。


まだまだ寒い日が続きそうなので、もう一度仕込んでも良いな、と思っている。
思いついた工夫をもう一度試し、次も美味しくできたらレシピを残そうかな。

両親は、家で食べさせたことがない(両親は作れない)郷里の漬物を私が自発的に作るので、とても不思議な気持ちらしい。
私もなんとなく不思議な気持ちだ。