空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

研究人生いろいろ

少し前ですが、短期間だけ所属していた研究室の立ち上げ○周年同窓会が開催され、参加してきました。

同窓会と言っても大学の研究室ですので、半日はみっちり研究会で、飲み会は夜からでした。
宿泊は出来なかったので日帰り参加。必然的に研究会メインとなりましたが、飲み会は1時間弱だけ参加して、「帰っちゃうの?!泊まりにしなかったの?もっと話したかったのになぁ」という教授の嬉しい言葉を背に駅まで走って新幹線に飛び乗り帰途につきました。


私の今の仕事は臨床寄りの医学研究なので、ターゲットとしている病気がいくつかあり、その発症や進行のメカニズム、将来的には新しい治療や薬の開発に結びつくような視点での研究です。

私は正直ヒト医学にはほぼ興味無し。だって獣医師やもーんって、獣医師の研究者でもヒト医療に役立つ発見を!という情熱がある人ももちろんたくさんいますよ。
ただ私は別にヒトの病気はどうでも良い(自分の健康状態は大変気になるが)。そこを考えるのは私の仕事じゃ無いという気持ちがあるのです。
じゃあなんで研究しているのかと言えば、それが役立つかどうかは置いておいて生命現象を深掘りするのは大変面白いのでやっています。
あと、実現出来るかどうかはさておき将来的な野望がありますので。


同窓会が行われた研究室は生物学の基礎的な研究をやっているところなので、今の仕事とはだいぶ違いますし、どちらかと言えば私の研究への情熱と同じ種類の情熱で研究している人が多いところです。
いや、細胞の中の特定の現象に執着して情熱を燃やしているという点では私なんかを遙かに凌駕する人ばかりでしょう。


研究会ではそういった人たちの発表をたくさん聞けて、すごく刺激を受けました。楽しかったわ~
朝も早かったので、途中眠ってしまうかな?と思っていましたが、ノートを取りながら熱心に勉強しました。
実際、今あるいはこれからの自分自身や学生さんの仕事に使えそうな知識もかなり仕入れることが出来ましたし、今後相談に乗ってもらえそうな人たちと旧交を温めたりと実り多い時間でした。


同窓会と言うだけに、私を含めて今はもう所属していない人が多いのですが、なんだかんだで30人弱の卒業生やOBが集まり、現役学生やスタッフと合わせて40人くらいになったようで、教授も「こんなに集まってくれると思わなかった」と驚き喜んでいました。
研究室の中では小さないざこざが私が知っているだけでもいくつかありましたが、人が集まると言うことは良い職場だったと感じている人が多いと言うことでしょう。
同じ大学の、そことは別の研究室に所属していた時期もありますが、そっちの同窓会は呼ばれても絶~対に行きたくないもんね!w


今回の勉強会での発表は主に現在研究室からは出ている人、つまりOB中心に行われました。
中にはメーカーに就職して既に研究者としての仕事はしていない人もいますので、大体自己紹介を兼ねて今に至る経緯をスライドの最初に入れ込んだ発表となります。
それを見ると、研究人生も本当にいろいろで悲喜こもごもだと思います。

ポジティブに舵を切った人、見切りを付けて諦めた人、見切り付けていないのに諦めさせられた人、復活している人、上手くやれている人、なんだかんだで幸せそうな人、今でも傷ついている人、高給取りになっているけどなんだか幸せそうでは無い人、etc. etc.


ご存じの方もいるかと思いますが、研究者として生き残っていくのはとても困難。
特に日本はそもそも研究者の給料が低いので、途中で仕事が無くなると本当に困るんですよ。
10年程度で仕事が無くなる可能性が高いなら、それまでにある程度の財を形成出来るくらいの給料体系にしていただきたい。

そして能力の中には絶対にも含まれます。でないと、研究者として本当に本当に大したことないのに教授になっちゃっている人とか、逆にものすごく優秀で性格も良いのに任期付きの職を転々としている人(私も贔屓目にみればここに属するでしょう 笑)が存在する理由が見当たりません。


一部の天才を除けば、若い頃から遊びや余暇の時間を勉強と研究に充ててきたのが研究者なんですよね。
それでいつまでも綱渡りのような切迫感から逃れられない人生ってどうなの?と私だけで無くみんな思っているでしょう。
私の年代(ロストジェネレーション)は特に母集団が大きいので、競争に次ぐ競争の結果残っている人は実は下の世代よりも遙かに優秀だったりするのに、なんとか生き延びているうちにもう年齢の面で大学や研究所の正式なポジションに就くには不利になっているという悲しさ。

ここ数年、女性研究者を増やそうという動きがポーズでは無く本格的に活発になってきたので、私も「なぜせめてあと10年遅く産んでくれなかったのか?」としばしば思いました。。。
これまで性別を理由に公募から落とされたことが何度もありますから。
それで当時私と競合して採用された人が数年後に研究不正やハラスメントで懲戒免職とか、いやマジこれどうしてくれるの?この行き場の無い気持ちを??と思います。


皆さんの発表を聞きながら自分の来し方行く末について(しょっちゅう考えていますが)改めて深く考えてしまいました。



その研究室は実は教授が別の大学に移ると言うことで近いうちに解散してしまうんですよねー。
ついて行くスタッフは多分一人だけで、大学院生は何人か行くのかな?
今後も○○(教授の名前が入る)研としては存続するから何年後かにまた同窓会や勉強会はあるだろうけど、自分が仕事していた大学から研究室が無くなると少し寂しいものがあります。

多分、次回の研究会では私が発表者に入れられるでしょう。
その時に自分は何をしているかなぁと思います。