空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

夢の話

私は時々やたらとスケールの大きな夢を見る。


そのことが何を意味しているのかはよくわからないが、大層清々しく充実した気分で目覚めることだけは確かである。



今朝方に見た夢はまさしくそんな夢だった。



私は帰省して東京にいたのだが、夜に激しい雨が降り朝になるとマンションのベランダの直ぐ下にまで水が来ており、見渡す限りの海原なのだった。


しかし、これは災害ではなくて、夢の中のトウキョウは大雨が降ると特定の箇所に栓をしてわざと都市に水を貯めるのである。
水没水域に家がある人は一時的に水中で暮らす。


ただしそれはほんの丸一日のことだからさほど不便なことにはならないのだ。



トウキョウがなぜ水を貯めるのかというと、それは上野動物園の動物たちを泳がせて運動させるためである。



晴天となった翌朝、私がベランダに出て水面を眺めていると、まず右手からやって来たのは大きな虎である。上手ないぬ掻きでゆったりと目の前を横切ってゆく。私は歓喜の叫びをあげて眺めているのだが、晴れた空の下、動物達は次々と泳いでくるのだった。


虎、オオトカゲ、ペンギン、白熊、何故かドラゴン、馬、、、

泳ぎが好きな生き物は二周も三周もしている。みな、ダイバースーツを着た飼育員に付き添われているが、水のなかで本当に生き生きとしていて、命の輝きが迸っている。見ていて飽きない。



そうこうしているうちに、日が翳ってきて、半分暗くなった水面に最後に現れたのは大きなトナカイだった。


沈みゆく夕陽に照らされて、水面に突き出た角が光る。
数頭が静かに眼前を泳いでいる。



本当に神秘的で強く美しく、歓びに溢れた夢だった。