空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

彼の試みは

この夏クールのドラマはいくつか楽しく観ています。
かなり気に入っているドラもあれば、好きかどうかはさておき興味深く観ているものもあります。


今日は興味深く観ているドラマの話しです。

ja.wikipedia.org

www.asahi.co.jp


主人公の飯豊まりえさんを始め、溝端淳平さん、シシドカフカさん、早見あかりさんなど好きな俳優さんが出ているので見始めたドラマですが、正直野島伸司は好きでは無いのです。
私は元々やや破滅的、かつ、幼少期からの断続的ないじめで根底には人間不信があるような人間ですから、高校生から大学生にかけて自己形成がまだ不安定な時期は野島作品には強く引きつけられました。

「愛という名の下に」「高校教師」「この世の果て」は夢中で見た記憶があります。
しかし「一つ屋根の下」「未成年」「聖者の行進」などは話題になっていましたがほとんど観た記憶がありません。
だから、野島フリークと言う感じでは無かったのでしょうね。


それからこの人は時々妙なスポ根ドラマを書きますね。
ゴールデンボウル」とか「GOLD」
なんか変わった切り口でテーマに迫っていく人だなぁと思いながら観ていました。
この辺りになると、ドラマ自体が面白いと言うよりも、野島伸司の思考回路が興味深いという視点に変わっています。




さて、新しく始まった「何曜日に生まれたの」略して「ナンウマ」

余談ですが、日本人はどうして何でもすぐに略してしまうのでしょうか?略すの嫌いなワタクシです。
それに、公式サイトでは「ナンウマ」とカタカナで書かれていますけど、どうしても「ナウマン」に見えてしまいます。

ナウマンってゾウか!っての!!!!


それはいいとして。

まだ2話放送しただけですが、ざっくり説明するとこんな感じ。
引きこもりの娘と二人で暮らしている初老の売れない漫画家(陣内孝則)が、編集長から連載打ち切りを言い渡される。
なんとか仕事を継続させてくれと泣きつくと、売れっ子ライトノベル作家とのタイアップで良ければ仕事あるよと言われ、喜んで飛びつくが一つ条件があると言う。
それは、引きこもりの娘を題材にすること。
具体的には、作家が娘にインタビューをして過去を聞き出し、行動に対して指示を出し、それに従って行動した結果をまた作家にフィードバックする、というもの。
これにより、引きこもりの娘は同窓会に出席させられ、当時片思いをしていた男性とコミュニケーションを取ってくるように、との指令を受ける。


ここまで観てアレなんかこういうの知ってるような気がすると思いました。

こういうのとは、第三者の意図的な働きかけにより、対象者にとっては全く意図しない人間関係が生じ、そのことによって対象者の膠着した人生が大きく動き出す、というもの。


記憶の底を探ると出てきました。
コレ
ja.wikipedia.org



やっぱり野島伸司でした。


4組のカップルが精神科医である正人の提案で、恋人を交換しながら過ごし愛情より相性の方が大切では無いか?を実証するゲームをしましょう、みたいな話しだけど、実は裏には正人の患者である若い娘(常に希死念慮に囚われている)の治療という目的が隠れていたりする。
ある程度無理矢理な他人との関わりにより、生きる意欲を取り戻せないか?という治療というか実験というか。



些細かつ自然で意図しない出来事が積み重なることで人生が大きく動くという物語は多いけど、あえて意図して手を加える人物を入れた物語を作るというところに野島伸司の拘りを感じます。

このような物語からは、野島伸司と言う人は非常に実験的な思考を持っていると感じます。
とても面白いです。