空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

素朴なおじさん

最近、眠る前に坂本龍一さんの訃報を聞いた後に購入した「音楽は自由にする」という本を読んでいます。

これは2009年くらいに単行本で出版されていたのが、訃報が出た後に急遽文庫化された模様。
だから追悼の帯がついています。


本人が書いているのではなくインタビューをまとめたものらしく、読んでいると本人が訥々と喋っているように感じられ、彼が長くやっていたラジオのリスナーだった私には妙な懐かしさがある本です。


何となく、最初から通して読むのが気恥ずかしいような、または感情が揺さぶられるのが怖いような、そんな気がして、いつも適当に開いたところを読んでいます。



読んでいていつも思うのは「この人ホントに素朴な、可愛らしいおじさんだなぁ」ということ。


坂本さんといえば、あだ名が教授だし、風貌や才能も相まって「格好いい」と評されることが多いです。
でも、昔のサウンドストリートのリスナーならわかっていただけるのではないかと思いますが、喋りもボソボソしているしごく普通でむしろ素朴な感じの人なんですよね。
政治的な発言も多いとされていますけど、まぁ確かに記事になっていると強い主張をされているなぁという感じですが、実際は「安心してみんなで音楽を楽しめる世界の方がいいし、緑が多い方がヒトだけでなく動物も嬉しいだろうし、そういう方が嬉しいじゃない?」という優しい感じの主張なんですよね。
戦争に関しても上から目線で「けしからん!」というよりは「怖いし悲しいことばかりだし無い方がいいでしょ?」という感じですし。

とにかく坂本さんはクールな切れ者!って人ではなかったのですよ。


これまたラジオでも垣間見られたことですが、意外と感情的なところもあり、でもそれも怖い感じではなくて子供がワッと喜んだり落ち込んだりするような無邪気なところを持つ人でもありました。


本を読むとそのあたりの雰囲気がとてもよく出ていて和みます。

坂本さんのことを「教授ってとにかく格好良くて天才~」としか言わない自称ファンの人を私は心で「え、ホントは全然知らんやろ?」と突っ込みを入れています。