空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

不可思議ないきもの

ニンゲンはなかなかに不思議ないきもの


例えば自堕落で不誠実な性質で、そのことに多少なりとも引け目を感じているとき、憧れと共に真反対の性質を持つ相手を選ぶ。
一緒にいることで自分もまた相手と同じような人間に変わることができる、と感じてしまうんだね。

ニンゲンは模倣が上手いいきものだから、一緒にいる相手の真似をすることで、新しい行動様式や思考パターンを身に付けられたと感じられる時もある。

変われた!と感動する瞬間だ。


でもよく考えて。
相手が節度があり誠実な性質なのは、たくさん失敗をしながら何年、何十年かけてそういった性質を磨いてきたからで、昨日今日の話じゃない。
だから真似をしたところで所詮は真似でしかない。



ある日、実は自分が全く変わらず自堕落で不誠実なままであることに気づく。


自分への絶望と諦めは相手への憧れを消してしまうこともある。
不思議なことに相手は自分に引きずられて自堕落になったり不誠実になったりしない。
そのことも妙に腹立たしい。

そのうちに相手は自分の引け目に感じている性質を一層際立たせ、隠しておきたいのに白日の元に晒してくる嫌な奴に感じるようになってくる。

眩しい、憧れる、そうなりたい
でもなれない。
隣にいると自分の醜さや黒さを意識せずにはいられない。イライラする。


憧れの性質を身につけるためには辛抱と努力の継続しかないということには思い至らない。
相手が自分に引きずられないのは、常に律する努力を忘れないからということにも考えが及ばない。



変わることはできる。
でも、変わるって大変なこと。
文字通り、生まれ変わるくらいの長い時間と試行錯誤の日々を諦めずに続けていかなければならない。

都合のいい誰かに引っ張り上げてもらうことなど出来ない。それは錯覚だ。
誰かと居ても、孤独な戦いを続けなくてはいけない。

まずは孤独の中で磨く、ということを理解する必要がある。