空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

家族が増えました

5/13(土曜日)
夜遅くに我が家にやってきた茶トラ君
名前はオクトです。

5月14日(日) シャンプーしました

オクトとはギリシャ語で8のこと。

七味に続き8番目のネコなので、次の子はこう名付けると以前から決めていました。


16歳の去勢オス。慢性腎不全であり、腎性貧血も見られます。
かなり大柄ですが、体重が2.7キロ程度しかないのでかなり痩せていることが分かるでしょう(ちなみにテオは5キロ、七味は4キロ強)。


大人の事情で詳細は書けないのですが、少なくとも直近4年間は相当に過酷な、劣悪な環境にいましたので、痩せているのは腎不全のせいばかりでは無いと思いますが、まぁ何というか息も絶え絶えでやってきました。

このコンディションで、遠いところから長時間かけて乗り物を乗り継いででも元の環境から出してやる必要があるのか?かえって寿命を縮めるのでは無いか?と思いましたし、里親依頼をして下さったボランティアさんにもその懸念は伝えましたが、ただ息をしているだけで地獄のような場所から出て、たとえ短い間になったとしても家族として迎えられ幸せな時間を過ごして欲しいという気持ちに共感しましたので受け入れることにしました。



初対面の印象は想像していたよりは身体は元気そう、でした。
ただ、やはり表情が暗いというか無表情というか、例えばうちのネコズは額から光が出ているような力強く明るい顔をしますが、そういうのは全然無い。

とは言え食欲もあり、出したキャットフードをガツガツと食べてくれたのでまずは安心。

狭いところで移動を制限されて飼育されていたので、筋肉が萎縮していることも考慮し、用意したキャットケージの2段目は少し低めに設定したのですが、そこに置いたベッドで気づいたら熟睡していました。
ボランティアさんによればふかふかの場所で眠るのは少なくとも4年ぶりなので、喜んでいるんじゃ無いかとのことでした。



病気や先住ネコとのすりあわせもあるので、当面はケージ生活をしてもらうのですが、筋肉を少しでも増やすことは病気やメンタルケアにも有効なので、毎日2,3回X1,2時間は部屋とベランダを自由に歩かせて運動させることとしました。

従って翌日曜日は朝からお部屋探検でした。
好奇心のおもむくまま自由にどんどん歩くことが出来るのが嬉しいのでしょう。
ふらつきながらもたくさん歩いて、あちこちの匂いを熱心に確かめていました。

その姿を見て、外部からの刺激が脳と身体にそれぞれ影響を与え、また脳と身体も相互に影響し合って認知機能や身体能力を高めていくというのは、ヒトに限らず生物にとっての普遍的事実だと改めて実感しました。
つまり、ごくごく短時間で瞳に意思が宿り、段々と顔つきも明るくなっていったわけです。


さらに午後には全身シャンプーして、被毛のべたつきや耳や尻尾の頑固な汚れ(皮脂やホコリが黒くかたまっていた)を落としました。

ネコは本来かなりきれい好きな生き物です。シャンプーも必要ありません。
でもオクトは我が家に来てから一度も毛繕いをしませんでした。
毛繕いを諦めてしまうくらい汚れた環境だったということではないかと思います。
実際、シャンプー後のお湯は茶色く濁っていました。

そして、今では普通に毛繕いをしています。
ネコにとってグルーミングは身体を清潔に保つ目的もありますが、気持ちを落ち着ける効果もあるとされており、普段グルーミングをするかどうかはネコの状態を見る指標にもなります(具合が悪いとしなくなることが多い)。
オクトが食後や部屋散歩の後に寝床で熱心にグルーミングをしているのを見ると、だいぶ心が回復してきたなとしみじみします。



とはいえ病気はなかなかに重く、16歳と言えばヒトに換算すれば80歳くらい。
運動させて栄養状態を劇的に改善しても若返ることは無いですから、後は低空飛行なりに余生を楽しんでもらえたらと思っています。


15日月曜日はかかりつけ医に連れて行き、腎不全に関して今後の方針を相談すると共に、絶対に何かの病気があると睨んだ耳の検査をしてもらいました。
やはり単なる外耳炎では無く、中耳炎かもしかしたら内耳炎ということで、膿を培養に出してもらいました。
今のところ点耳薬で治療していますが、場合によっては服薬か注射での治療となりそうです。
腎不全に関しても、ACE阻害剤のセミントラ投与を開始しましたが、貧血で血が足りないところに薬効で血圧を下げるので、末梢では一層血が足りなくなり治療としては悩ましい。

血圧を下げることで腎臓が少しでも回復してくれれば、造血ホルモンが出て貧血から脱してくれるかも知れない。。。。その効果を狙ってのセミントラ投与ですが、バランスが難しいなと感じています。
食欲はあるので、全身の栄養状態が改善すれば多少何か光明が見えるのではないかと考えていますが、なんとも言えないですね。


オクトがまだ生きたい!生きていることを楽しみたい!!と思うのであれば希望はあるかも知れません。
ヒトでも動物でも最後は気持ちが非常に重要です。
言葉での意思疎通が出来ないことや、提供される医療のレベルを考慮すると、動物の方が一層気持ちが重要かも知れません。

安全な環境に逃れホッとして、その後これまでの疲れが出て、もうこれで、、、、と思えば、比較的早い旅立ちになるかも知れません。

ベランダから下の通りや遠くを眺めるのが好きです。ネコだもんね^^