空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

手作りご飯にトライしています

偏食のミトが亡くなってから、生きているうちにもっとできることがあったんじゃ無いか、と考えて、手作り食について調べて、始めていました。

ペットの食事を手作りすると言うことについて多少の知識はあったのですが、学問として正式に教わっていないこともあり、自分の問題として考えたことは無かったのです。
しかし、今書きながら記憶がよみがえってきましたが、思い返せば大学時代に研究室の柴犬(ペットでは無く研究対象)でお腹が弱いコ用に大鍋でレバーや野菜を入れたおじやを作り、小分けして冷凍しておくのが下級生の仕事でした。


とは言え、うちのネコの頻繁な吐き戻し問題を、手作り食で克服しようという発想にはならなかった。今から考えると、どうして思いつかなかったのか!、と痛恨の思いですが、相談した友人や同僚の獣医師の誰も「手作りしてみれば?」とは言わなかったので、やっぱりまだ一般的では無いのでしょうね(特にネコに対して)。


キャットフードについて、ヒトに置き換えたら毎日カロリーメイトで生活するようなもので、便利だが決してベストでは無い、とここまでは本当に何度も何十回も考えたことはあったのに、その先に一歩考えを進めることは出来なかったんですねー。なぜか。。。

以前ウサギを飼っていたときは、ペレットは最少にして牧草と葉物野菜や食べられる野草、少しの根菜・果物と工夫していたのだから、ネコでも同じことを考えても良さそうなものなのに、肉食動物の食事を毎食作るのは現実的では無い、と思い込んでいたのです。

自分は比較的突拍子も無いことを考えたり行ったりする方だとは思いますが、枠を飛び出るのがいかに難しいかよく分かります。


ま、そんなわけで、ミトには間に合わず申し訳ないことをしましたが、テオと七味には先に亡くなったネコ達から得た知識や反省を活かさなくては。
私は決してキャットフードがダメと言っているわけでは無いですよ。
あれはある意味「ものすごい発明」だと思います。
ただ、ベストとは思っていませんので、じゃあ出来ることから始めて少しでもベストに近づいていこうじゃないか、ということです。

美味しいご飯作ってちょーだい

これはまぁいわゆるレシピ本なので、パラパラ眺めてみただけで、読み込んだのはこちら。
愛猫のための症状・目的別栄養事典: 須崎 恭彦 + 配送料無料

これは結構良い本でした。
参考文献もきっちり載っているので、気になったものは原著にあたることも出来るのも良いですね。
須崎先生はこれらの本を何冊も出していますが、ネコは基本これだけ読めば良いのでは(営業妨害じゃないですよ 笑)。

こちらにもレシピは載っていますが、押さえるポイントさえ理解していれば、ニンゲンのご飯が作れる人なら独自の組み合わせでイヌ・ネコの手作りご飯は作れると思います。


我が家では

  • キャベツ・干し椎茸(またはエノキ)をみじん切りにして柔らかく煮たものに合い挽き肉とご飯少々を入れてさっと火を通し、それをペーストにしたもの
  • 適当にカットした鶏胸肉をジップロックに入れ、冷ました鰹出汁(鰹節から取る)を注ぎ冷蔵庫で2日ほど浸けたものを、ジップロックのまま漬け汁ごと茹でたもの(茹で加減にコツが必要で、茹ですぎて硬くなると不人気)
  • 蒸した鶏レバー
  • 蒸してほぐした鮭・鱈

などをまとめて作り、分けて冷凍しています。
そのほか、無塩の干しエビ、干しアミ、適当にちぎった煮干し(無塩)を混ぜたものなど。
これは七味の大好物(テオはエビも煮干しも好きではないらしくあまり食べない)で、出さないと催促されます。

こういった手作り食とドライフードを大体1:1-2程度の割合で食べてもらっています。
初めは戸惑っていましたが、鰹だしに浸けてボイルした鶏肉が大変美味しいらしく(実際私が食べても美味しい)、それを思いついてからコンスタントに食べるようになりました。

普段は、朝はドライフード(七味には干しエビミックスも)、帰宅後もまずドライフードを少し食べさせ、食べている間に手作り食の準備をする、という感じです。
我が家は日中の食事が少なめなので、私が帰宅したときにはネコ達はかなり空腹です。
とりあえずのドライフードだけでは満腹にならないので、手作りご飯もちゃんと食べてくれますし、始めた当初はともかく、慣れてきてからは手作りは手作りで楽しみになっているようです。


手作り食を始めたのがGWあたりで、既に5ヶ月くらい続けているのですが、ここに来て特にテオの被毛がすごく変わったなと感じています。
テオは11歳の雄ネコですが、11歳といえばまぁまぁ高齢になってきたなと言う感じ。とても元気ですが、眠る時間が長くなっているし、ここ数年は被毛の艶も随分減ってきたと感じていました。
それがこの秋、夏毛から冬毛に換毛したあたりから手触りが違う!!若い頃みたい!!!艶もある!!!

七味はまだ7歳なので艶はあるのですが、やはり冬毛に変わるにつれて手触りが以前より滑らかになりました。


これはやはり良質なタンパク質が摂取できているからでしょう。

ヒトでも同じですが、栄養素が不足してくると大抵はまず爪、被毛(毛髪)、次に皮膚、骨(この辺ちょっとあやふや)に影響が出ます。
生命維持のためには脳、主要臓器の方が重要と身体は判断するので、そちらに優先的に材料が回され、爪や被毛は後回しにされます。
逆に言えば、爪や被毛または皮膚の状態がとても良ければ栄養素的には問題がない可能性が高い、となりますし、実際に臨床現場でも外観をよく観察すると言うことの重要性はここにあります(特に動物の場合は患畜に問診できませんので)。
もちろん、隠れている病気はありますし、病気によっては毛が逆に艶々してしまうこともある(ある種のホルモン亢進症など)ので注意が必要ですし、ヒトの場合は毛髪だけ徹底的にケアされている場合もありますから一概には言えませんが(若い女性の慢性的な栄養素不足問題というものがある)、おおよその目安としてはそうです。

従って、換毛後の新しい被毛の質が向上していると言うことは、そこに配分される栄養素まで十分に担保されている可能性が高い、と考えることが出来るのです。



一般的に、ネコが高齢になってくると代謝が落ちてくるので、腎臓にかかる負担を減らす目的で(ネコ科の動物はヒトやイヌに比べて腎臓に負荷がかかりやすい)タンパク質を制限した方が良い、と言われています。運動量が少ない避妊去勢済みの家猫では特に推奨されています。
私もそれで納得していたわけですが、一方で、腎臓が元気に働くために必要なのもタンパク質なので、健康なうちから制限することは機能的に大丈夫なのかな???と思うときもありました。

我が家はだいぶ前からドライフードは少しタンパク量を落としたものにしていて、手作り食にしてからはダイレクトに肉や魚を食べさせては居ますが、その分ドライも減っているので、トータルでのタンパク量が増えているのか減っているのかはよく分かりません。

ただ、質が変わっていることは確かなので、身体が何か変化してきているのでしょう。
正直、年単位で見たときに、この食事が吉と出るか凶と出るかは全く分かりませんから、無条件に「手作りご飯良いよ!」とは勧められません。
今後も継続して観察していこうと思います。


さて、気温が下がってきましたからテオが早速私の横で眠るようになりました。

私が起きてもしばらく寝ています

これ、私のベッドですからね。

日が少し高くなり、温かくなってくると良い案配のところでまったりしているネコ達です。>

忙しい朝。でもネコ達はのんびり