空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

真理に巡り合いたいが現実は

私はバイオロジーの研究者なので、その辺りの分野限定での話です。
理論物理や数学、あるいは歴史や文学の研究世界は全然違うのかもしれませんが、身近なところに知り合いがいませんので分かりません。


さて、バイオロジーすなわち生物学に興味があり探究したいから研究者を志す若者は、生き物の秘密を解き明かしたいという思いを持っていると思います。
それは生命の真実、真理と言っても良いかと思います。



修士課程を過ぎてもこの思いを持ち続けていると博士課程に進学します。


博士課程に進むと優秀な学生ほど揺るぎない真実にはそうそう辿り着けない、ということが理解できてくると思います。
それで疲労感を感じて企業に就職する学生も一定の割合でいます。
企業では真実や真理を追求しなくても、企業の利益を追求すればよく、それは比較的イメージしやすいものだからです。


一部の楽観的な学生は真理の追求は困難だけど可能、という気持ちを持ち続けて本格的に研究者になる道に進んでいきます。
楽観的な、と書いたのは、自分のを振り返ってみて、こんな仕事は悲観的な人間にはとても無理と思うからです。

あまり優秀ではない学生も進む道の暗黒さに気が付かないため足を踏み入れてしまうかもしれません(空ネコはこのタイプ)。



そして実験に明け暮れて数年、多くの研究者が呟きます。
「これって本当に「本当」かね???」


実験という手段を用いて事象にアプローチしていると、否応なく突きつけられるのが「見ているのはある条件の元での真実」ということ。
実験を積み重ねればデータは出ます。
それらを組み合わせてもっともらしいストリーを組み立てることはできる。
全部がでっち上げとは言いません。

しかし



「それってホント?」
と聞かれると
「○○あるいは□□という条件の下でなら本当」
と答えるしかない。


誠実な専門家ほど口が重くて断言せず、何やら分かりにくい曖昧な表現を使うのは、コロナ禍でみなさんよくお分かりですよね。


生命における揺るぎない真実ってホント何なのでしょうね。
知りたいから研究していますけど、前提条件を必要としない真実にはほとんどお目にかかったことがないように思います。

例えばそう、
死んだら生き返らない、、、、、これも、ここから逸脱している生物はいたと思う(うろ覚え)




そういえば、予備校時代の友人で物理学科を目指していた人の中に「生物はグダグダだから苦手」と言っていた人がいたっけ。
うん、よくわかる。
そう思うと物理学って偉大だな。