空飛びラボ日記 Ver.2

研究する人生

さようなら、十和

1月28日 早朝
十和が旅立ちました。

19日くらいまでは順調に回復しているように見えたのです。
足の怪我も、肉や皮膚の再生が進み、もうカバーしなくても良い状態でした。
だから、まだ上手く歩くことは出来ませんでしたが、このまま元気になってくれるのではないか?と願っていました。

1月19日 澄ましているけど、よく見ると口元にお弁当が ^^


でも、週末から水曜日にかけてほんの少しずつ食べられる量が減っていきました。
それでも水曜日の朝は、フードを全部裏ごしにして完全にペーストにしてあげると用意した分はペロリと食べたので、食欲落ちているように感じたのも気のせいかな?と思いました。
夜は用意した半分程度しか食べませんでしたが、朝ちゃんと食べたからとそこまで深刻に考えていませんでした。

1月24日(水)夜。ウトウトしてばかりでちょっと元気がないようにも見えましたが、、、


でも、翌朝、ネコベッドには夜中に何度か吐いたあとがあり、十和の様子も明らかにこれまでとは違うレベルの深刻さでした。
実は月~水と看病のため仕事を休んでいて、木曜日から出勤するつもりでしたが、いつ逝ってもおかしくないと思いましたので、残りの二日も仕事を休むことにしました。

十和の状態は腎不全末期と思われました。
ここまで来ると、病院に行ってももう出来ることはほとんど無いです。
確かに、自宅では皮下点滴しかできないのが病院ではより効果的な静脈点滴を行えるということがあり、私もかなり迷いましたが、凄く寒い中での移動や入院のストレス、入院中の急変で最期に立ち会えない可能性と、静脈点滴で状態が良くなる可能性を天秤にかけて、このまま自宅療養を行うことにしました。

さいわい、点滴用の乳酸リンゲルと注射器等は常備してあるので皮下点滴だけ行って、甘酒ペーストだけ少し食べさせました。
水分が吸収されると少し楽な様子ではありましたが、強制給餌をしてももう飲み込むのがやっと、と言う感じでしたので、やはりここまでか、と感じました。

ただ、これまで何匹か腎不全での最期を看取っていますが、身体が冷えるし、おそらく頭痛や吐き気もあり、尿毒症で意識がほとんど無くても結構辛いのではないかと思います。

十和も、吐いたのは水曜日から木曜日にかけてだけでしたが、既に意識がもうろうとし、断続的な歯の食いしばりが見られ、湯たんぽを入れても手足はとても冷たくて辛そうでした。ですから、もう回復は無理だとしても、なるべく苦しい思いをせずに旅立たせてあげたいと、出来ることを考えました。


私自身も経験があるのですが、身体の熱を奪われるような状況では、意識が飛ぶような眠りこそ得られても睡眠によって体力が回復するというような質の良い眠りではありません。
せめて十和には良い眠りを与えたいと思ったので、とにかく冷えを解消することにしました。

以前、別のコの腎不全末期ではツボ(動物にもツボはある)に火を使わないお灸を貼ってみたりしました。
これは実際まぁまぁ効果があり、血流が良くなった結果、冷えで縮こまっていた下半身から力が抜け、数時間の深い眠りが得られたこともあります。
ただ、お灸は貼る場所がズレるとただ熱いだけとなってしまうことや、全身を長時間温めるというのには適さないので今回は却下しました。
また、半身浴(または足湯)をさせるのもやったことがあり、効果はあると思うのですが、まずネコは濡れるのを嫌がる場合が多いですし、真冬だと乾かしている間に一層冷えてしまう可能性の方が高いので、これも却下しました。


それで結局、一緒に寝るのが良かろうという結論に至り、居間に布団を持ち込んで添い寝をしました。
十和はもう自力で歩けなくなっていたので、バスタオルの上に下半身をカバーするようにペットシーツを敷き、寝たまま排尿しても大丈夫なようにして、私も一緒に眠りました。
私の脇の下に収まるようにしてやり、空いた手で足や手をさすったり揉んだりしながら寝ていましたら、氷のように冷えていたのがだんだんと温まってきて、それに合わせて全身の強ばりも消え、眠りが深くなったのが分かりました。

皮下点滴をしていることもあり、一晩に3回くらいは排尿するのですが、完全に覚醒しないまでも下半身を濡れた場所から動かそうとするので、そのたびに私も起きてペットシーツを新しい物に交換し、そうするとまたすーっと眠りが深くなっているようでした。

身体が温まってよく眠りました

そんな風に熟睡した土曜日の朝はやっぱりちょっとシャキッとした顔をしていましたし、私が「十和ちゃん、おはよう」と声をかけると目を合わせて「ニャア、、、」と鳴いてました。
といっても、声はかすれてほとんど出ていませんでしたが、数日ぶりに声を出してくれて嬉しかったです。


この日(27日土曜日)、やっぱり物は食べられなくて、皮下点滴と、自力で少し飲水しただけでしたが、一日頭がはっきりしていたようで、私と目が合うたびに声にならない声で「ニャア、ニャア」と盛んにしゃべっていました。
その時は「何が望なのかなぁ?」と思っていましたが、あとからあれはお別れを言っていたんだと思いました。

きっと「もうお別れだから何もしなくて良いよ」とか「居なくなるけど悲しまないでね」とか「ご飯美味しかった」とか色々言っていたのでしょう。。。。。

土曜日の夜も一緒に寝たのですが、22時頃にはもう意識がなく、添い寝をしてもなかなか身体は温まらず、断続的に苦しそうな様子も見られましたので覚悟をしました。
ただ、私は連日の看護で寝不足だったこともあり、一度完全に寝落ちしたんです。
そうしたら夜中にQちゃんがいきなり叫んでパニックになったように走り回り(Qちゃんは普段決して走りません)、びっくりして飛び起きたのです。

電気を付けてとりあえずQちゃんを抱き寄せると涙目でブルブル震えていて、でもそれは2,3分抱いていたら落ち着いたのですが、一方で十和が歯を食いしばって震えているのに気がつきました。
それで、今度は十和の方を膝に抱き上げると不思議と呼吸が静かになりました。

これも今思えば、Qちゃんが恐怖でパニックになったのは十和の身体から魂が抜けそうなのを感じたからかなぁ、、、と思います。
あのまま私が起きなければ、その時点で十和はなくなっていたのかなぁなんて。


で、それが深夜2時くらいでしたが、そこからずっと十和を膝に乗せて、そこに布団をかけて、私は座ったままで朝まで過ごしました。
窓の外が少し明るくなって、十和の呼吸は少し荒くなっていましたがまだ息をしているなと思っていたのですが、気がついたら止まっていました。
抱いていたから身体は温かく柔らかかったし、正直、いつ旅立ったのか分からないくらいの最期でした。


9月に亡くなったオクトは4ヶ月しか一緒に居られませんでしたが、十和はさらに短く、たった3ヶ月でした。
小さいけど、意思がはっきりしたネコでした。

もっともっと、美味しいご飯とか、部屋やベランダの探検とか、ひなたぼっことか、一緒に昼寝とか、十和が嬉しいと思える時間を過ごさせてあげたかったです。
16歳は高齢ですが、初めから安心安全な環境で過ごしていて、特に先天性の病気などが無ければまだまだ元気な年齢です。
我が家に来る以前の十和がどういうところで生きてきたかは分かりません。
でも、施設に送られたときには既に酷く汚れ、目やにや鼻水、皮膚病などがあったことを考えると、決して普通の環境では無かったと思います。
そういう環境で痛めつけられた身体は、高齢になってから環境を改善しても健康体に戻すことは難しいのでしょうね。
もっとなんとかしてあげたかったのですが、、、、、十和には何の罪も無いのに、もっと幸せな一生があったかも知れないのにと思うとやりきれません。

生まれ変わって、次は最初からうちにおいでね、十和